第48章 学力テスト
「っ…!
か…笠松先輩っ…な…なんで…ここにっ…」
「いちゃ悪いかよ…それより…なんでお前が…
聖知の部屋に行くんだよ!」
「べ…別にいいじゃないっすか!」
「よくねえだろっ……なんだ…その紙は…」
笠松の様子から話を聞かれていないと黄瀬が察して安堵したのも束の間、笠松は黄瀬の持ってる紙に視線をうつす。
「っ…こ…これは…せ…聖知っち…
忘れ物っすよ!」
「…Σえっ…これ私のじゃ…」
「……っ……」
咄嗟についた嘘でやり過ごそうと思い、笠松には見えないように「話合わせて
ほしいっす」といったような顔で黄瀬は聖知に仕草で合図をする。
「…まあ…いいや……聖知…
さっき…落としたぞ。」
「……あれ…これ…鞄につけてた…
ありがとうございます…」
笠松は黄瀬が何かを隠していると察して興味ないフリをして聖知が落としたキーホルダーを渡した。鞄につけていたものが外れてしまい届けに来てくれたことに嬉しくなりお礼を伝えて微笑む。
黄瀬は2人の様子を見て仲直りしたことを察すると面白くなくてムスッとした表情を浮かべ…テストのことは一瞬頭から離れていた。
「で……これなんだ?」
「……あ……」
「っ……!」
笠松は聖知の手にある紙を取り何が書いているのか確認する。その様子を見て黄瀬はそっとその場から離れクラスに戻ろうとする。
「………っ……なんだ…この…点数は…
これ…黄瀬の……っ…!
…黄瀬っ…!!…あいつ…
…逃げんじゃねえ!!」
「だ……だから嫌だったんすよ!!」
笠松は結果表を見るとワナワナと怒りで震え結果表がくしゃくしゃになるぐらい掴み、逃げようとしている黄瀬の制服を掴み逃さなかった。