第48章 学力テスト
「聖知…」
「…笠松先輩……どうしてここに…?」
空港からの帰り道…いつもと違う通学路で学校近くの駅を降りると笠松が聖知を待っていた。
「今日帰国しただろ…瑛一さん…
練習の時…早朝の便で帰るって聞いて…
聖知がこの駅で降りるんじゃねえかと…
…思って…待ってた。」
「……見送りしてきました…
…学校に行きましょう…」
「……どうかしたか…?」
「……いえ……
ただ…前までは平気だったんですけど…
……少し…寂しいなって……
元の生活に戻っただけなのに…今日から帰っても…
1人なんだなって…思って…」
1人は慣れたはずなのに……
ずっと1人でも…寂しい感情なんてとっくに…
無くなってた…
なんで今さらこんな気持ちになるんだろう…
「聖知…
寂しいって思うのは悪い事じゃねえ…
それは…当然の感情だ…
…それに……1人じゃねえだろ…
俺が側にいる……寂しいなら甘えろよ…
聖知は…我慢しすぎだ…」
「………っ…」
笠松は聖知の寂しそうな表情を見るとゆっくり優しく抱きしめ聖知の気持ちに寄り添うよう頭を撫でる。
笠松の言葉に聖知は寂しい気持ちを抑えられず…甘えるよう寄り添い相手の制服を握りしめしがみつく。
「今日の夜…聖知のマンションに泊まりに行ってもいいか…?次の日…部活休みだろ…約束してた動物園に連れてってやる…だから……そんな…悲しい顔すんな……ずっと側にいる…」
「……幸男さん…
…ありがとう……」
笠松の気持ちが嬉しくて感情を抑えきれず涙を溢れさせゆっくり頷く。
笠松の背中に手を回し、ギュッと抱きつき安心したように甘え、聖知の様子が落ち着くまで笠松も離さないよう抱きしめていた。