第48章 学力テスト
はぁ……
帰りたくない……
1年位…日本で試合したい……
俺は聖知の待っているマンションへと入っていき扉を開けるといつもよりも明るい優しい笑顔を浮かべた聖知が出迎えてくれた。
「あ…お父さん、お帰りなさい。」
「聖知…」
笑顔で出迎えてくれる聖知にますます帰りたくなくなり…自分が帰ることで聖知を笠松に独占させてしまうかと思うとイライラしてくる。
「今日までご苦労様…
ご飯…すぐ食べる…?」
「……あぁ…食べる…」
聖知を見ていると澄香とは違い家事全般完璧にこなしている姿に…聖知がもし…結婚したらと考えてしまう。
脳裏に…ふとなぜか笠松の顔が出てきて慌てて打ち消す。
「俺はそこまで認めてねえからなっ…!」
「…え…ど…どうしたの…?」
俺はいきなり大声を出してしまい…心の内を知らない聖知は驚いたように俺を見つめている。
「な…何でもねえ……聖知…
そういや…笠松と仲直りしたんだな…」
「笠松先輩から聞いたの…?
ちゃんと仲直りできた…
ありがとう…お父さん…」
笑顔で喜んでいる聖知を見るとこっちまで嬉しくなるが…さっきの俺の妄想から不安になり正反対のことを言ってしまう。
「聖知…あいつが嫌になったら…
いつでも別れていいんだからな…
あいつに泣かされたらすぐ言えよ…
俺がぶっ飛ばしてやるからな…」
「お…お父さん…
笠松先輩は……そんなことしないよ…//」
「……は…?」
聖知は頬を赤くして思い出したように照れた表情を浮かべている。1日の間に聖知の様子が全然違っていて何があったか分からず…笠松に対してますますイライラが募る。
『……聖知を…頼む……』
「前言撤回……今度あったら覚えてろよ…」
「……?」
俺はブツブツと小言のように呟き聖知の作った夕食を食べて日本滞在の最後の夜を過ごした。