第47章 何があっても離さない
「…………」
「……よ…よう…ひ…久しぶりだな…」
聖知は笠松に近づく度に心臓がドクンドクンと鳴り笠松にも聞こえるんじゃないかと思うくらい緊張していた。
笠松も一緒で…まるで初めて会った時のように緊張していて視線を聖知から逸らしていた。
「…あの……笠松先輩……は…話って……なんでしょうか…」
「……聖知……」
聖知は仲直りするつもりでいたが…笠松自身は何を話したいのかわからず顔を俯かせる。聖知自身はやり直したいと思っていても…笠松の気持ちはわからず不安げな声をかける。
「……聖知……
俺が悪かった……許してくれ……
聖知が1番辛い時に…側にいることもせず…
冷たい態度を取ってしまった…
俺は…聖知を守れなかった事ばかり考えて…
黄瀬に嫉妬していた……だから……
別れた理由も…約束を守れなかった…俺を…
聖知が見捨てたって勝手に思い込んで…」
「………笠松先輩…謝らないといけないのは…
私です…別れ話を告げた時……自分の身に…
何があったのかわからなくて…こんな……
汚れた私といると同じ辛い思いをこれからも…
させてしまうかと思うと……それで別れ話を…
笠松先輩は別れた理由を勘違いしてましたが…
本当の理由を話すと別れてくれないと思って……
嫌われて別れられるなら…
その方がいいと思いました…
いっぱい傷つけて…ごめんなさい……」
互いに今までの気持ちを吐き出すように話すと笠松は深々と頭を下げている聖知をそっと優しく抱きしめる。