第46章 すれ違い
「…………」
聖知は晩御飯を作り終わり、父瑛一を待っていると笠松から新着のLINEが来ていることに気づいていた。
「……笠松先輩…」
聖知の中で「忘れないといけない」と何度も言い聞かせても…だんだん気持ちを偽る事がしんどくなり…メッセージを見ようとタップしようとする。
「悪い…遅くなった。聖知……」
「っ…!…あ…お帰りなさい。」
瑛一が帰ってくると慌ててスマホを閉じて出迎える。
「聖知…怪我の具合はどうだ?」
「…もう…包帯なしでも大丈夫だよ。」
「そうか…でも、治りきるまでは安静にしてろよ?」
「うん…」
「それとな……言いにくいんだが…
予定より早くアメリカに戻る事になった。」
晩御飯を食べ終わり、瑛一は聖知の怪我の具合を確認すると安心したように笑みあと1日しか一緒に居られない事を伝える。
「そっか……お父さん…身体壊さずに元気でね。」
「まだ早いだろ……聖知……その……あいつから……連絡はあったか…?」
「あいつって…?」
「笠松だ。」
「っ…!」
「…あったんだな…。
聖知…俺は…
聖知が別れるって決めたんなら止めねえし…
何があっても聖知の味方だ。
……だけどな…もし……自分の気持ちに…
少しでも押し込めている事があるんなら…
きちんと吐き出してアイツと向き合わねえと…
先に進めねえぞ。」
突如笠松の話が出て聖知は沈んだ表情を浮かべて顔を逸らす。その聖知の様子から瑛一はすべてを悟り、助言する意味を込めて伝える。