第46章 すれ違い
「……よし…10分休憩だ。」
放課後の練習の最中、監督の呼び声で休憩時間になり…笠松はスマホを持ち体育館から出て行こうとする。
「笠松…どこ行くんだ?」
「……すぐ戻る」
森山の声に振り返らずにスマホをギュッと握りしめ…聖知からのLINEの返事がないか確かめたくて急ぐように体育館を出る。
「俺…ちょっと外の空気吸ってくるっす。」
その様子を黄瀬は水分補給しながら横目で見ており…立ち上がると笠松に続いて体育館を出ていく。
「………返事どころか…既読なしか…」
スマホを見ると送ったメッセージを聖知が見ていなくてため息をつく。
今なら……電話に出てもらえるか……
直接話ができれば……
笠松は意を決して聖知のスマホに電話をかける。
「……っ…笠松先輩……」
お風呂を済ませドライヤーで髪を乾かしている時にスマホに表示された名前を見て咄嗟に出ようとすると手が止まる。
…電話に出て何を話すの……
笠松先輩を傷つけた私に…何が……
…私に…そんな資格ない……
もう……終わりって……決めたんだから……
着信に出ようとせずに放置してると音が鳴り止む。
しばらく放心してスマホをただ見つめ、自分の本当の気持ちを押し殺すように胸元を服の上からギュッと握りしめる。