第45章 今は1人でいたい
「涼太…昨日言ってた話って何…?」
「……聖知っち……ここで…笠松先輩と付き合い始めた時…笠松先輩が好きだから…俺の気持ちには応えられないって言ってたっすよね…」
「………うん…」
「俺…あれから聖知っちが幸せなら…笠松先輩じゃないとダメなら…って…諦めて幼馴染として力になりたいそう思ってた。」
「………」
「…でも…最近気づいた…それは…自分を誤魔化してるだけだって…俺は…聖知っちが好きっす…」
黄瀬の口から笠松の名前が出てくると聖知の表情が曇る。
切り替えないといけない…そうわかってはいても聖知の中ではまだ割り切れておらず俯いていると黄瀬に抱きしめられる。
「聖知っちが…笠松先輩と別れて…すぐにこんな事言うのは困らせるだけなのかもしんないっすけど…俺と付き合ってくれないっすか……俺が聖知を守るから…」
「……っ……涼太……」
笠松と別れたことを再び思い出してしまい頬に涙が伝う。黄瀬からの告白を今は受け止めることができず…相手をそっと押し返して沈んだ表情を浮かべ言葉を続ける。
「…ごめん……今はそっとしといてほしい…
今は……何も考えられない。」
「……聖知っち……笠松先輩は…俺に……もう聖知っちの事は…関係ないって…心配すらしないなんて…俺なら…そんなふうにはっ…」
「……やめてっ……別れた原因は私にあるんだから……そう思っても当然なの…笠松先輩を悪く言わないで……涼太…ごめん……今は……笠松先輩の事…すっかり忘れるまで……1人でいたいの……ごめん…」
聖知は泣きながら黄瀬に伝えると屋上から出て行き教室へと戻る。