第45章 今は1人でいたい
「………お父さん…?」
翌朝聖知は目を覚ますと父瑛一の姿が見当たらず、ガチャと扉が開く音がすると…どこかに出かけていた様子でヘ戻ってきた。
「…おっ…聖知起きたか?
怪我の具合はどうだ…?」
「大丈夫だよ。
どこか…出かけてたの…?」
「ちょっとジョギングにな…
今から朝飯作るからちょっと待ってろよ?」
瑛一はキッチンに向かうとノートパソコンが開かれたまま残されていて瑛一が通ったのと同時に少しパソコンに当たりスリープモードが解除される。
「………!」
勝手に見てはいけないと思ったが中身を見ると『引退表明』と書かれており聖知は驚き再びアメリカに戻ると聞いていたのにわけがわからず困惑した表情を浮かべる。
「聖知………っ…!!」
室内が静まり返り聖知を見つめノートパソコンを見ている事に気づくと瑛一は焦ったようにすぐ側まで来て慌てて閉じる。
「………お父さん……引退するの……?
……どうして……?」
「………いや……そろそろ……歳だしな……」
「……嘘……他に何か理由があるんでしょ……」
「…………」
「…ねえ……どうして……」
引退話をすると…瑛一は目を逸らし明らかに嘘をついているのがわかる。聖知が問いただすと観念したようにゆっくり話を始める。