第45章 今は1人でいたい
「……日本に残って聖知と一緒に暮らしたいと考えている。」
「…っ…な…なんで……
今まで離れて暮らしてきたじゃないっ……」
「怪我してる聖知を置いて帰れるわけないだろっ…」
「………私が怪我したから……引退するってこと…?」
「違うっ…そうじゃなくて…」
聖知は自分の怪我のせいで大好きなバスケを父が辞めてしまうと思い沈んだ表情を浮かべる。
瑛一は真実を伝えてしまうと傷つけるのがわかってはいても言わない限り聖知は納得しないと思い続けて言葉を続ける。
「聖知……その怪我…階段で転んだものじゃないんだろ……病院から学校に戻った時……偶然知ったんだ。小林って奴に負わされた怪我なんだろ…」
「っ…!」
「……心配なんだ……聖知が……あいつと…笠松とも…別れたんだろ…桐生から聞いた。俺は…今まで側にいられなかった分…一緒に暮らしたい。」
父瑛一が真実を知っていたこと、笠松と別れた事も知っていて驚き直ぐに目を逸らす。
いづれにしても聖知の中で引退の原因については自分にあるとわかり俯いたまま服の袖をギュッと握り締める。