第43章 諦めない
「…………」
もらったプレゼントをそっと違う箱にしまい涙を流す。
もう戻れない。
今さら……私のことなんか……
きっと……嫌われてる………
「……動物園………行きたかったな……」
私はそっと箱を閉じて静かな部屋で涙を流して泣いていた。
「………誰……」
自分のスマホの電話が鳴り涙を拭うと画面を見ると涼太から着信があった。
「もしもし……」
「あ…聖知っち!…今大丈夫っすか?」
「う…うん…部活終わったの…?」
「今終わって帰ってるとこ。
怪我の具合…どうっすか…病院行ったって聞いて…」
「あ…大丈夫…特に異常はなかったから…
今日は大事をとって休んでるだけ…」
「ならよかった…明日は…学校に来れそうっすか…?」
病院での診断結果を伝えると黄瀬は安心したように電話越しでも安堵している様子が伺える。
「う…うん……涼太……今日は…ありがとう…
助けてくれて……」
「……聖知っち……明日…
話したいことがあって…昼休みに話…できないっすか…?」
「…話って…なんの…?」
「まぁ……明日話するっす!…今日はゆっくり休んで…おやすみ…」
保健室にいた時、聖知は状況に飲み込むのに精一杯で黄瀬にきちんとお礼を伝えてなかったため電話で改めてお礼を伝える。
黄瀬は、電話越しでもっと話がしたいと考えるが、今は聖知に無理をさせたくないと思い明日話す約束をして自分から電話を切る。
「聖知っち……
俺……やっぱ諦められない……
必ず…俺に振り向かせて見せるっすよ…」
黄瀬は切れた電話越しに独り言のように呟く。
別れたと言っても…聖知は今日笠松と別れたばかり。
笠松に気持ちがまだ残っているとわかってはいても…
必ず、聖知から笠松を忘れさせて見せると誓い帰路へ着いた。