第43章 諦めない
「聖知を守ることができなかったからじゃねえ……お前は聖知が失望して見限って別れたって言いてえのか?」
「…っ……それ以外理由なんて…」
「聖知がお前を責めてそう言ったのか…?」
「…聖知は………
大変な時に…来てくれてありがとうって……
でも…その後……別れ話を……」
「……もういい……
お前は何もわかっていない!
聖知の気持ちも…
聖知がなぜ別れを告げたのか…
その理由もな……!」
瑛一は笠松の言葉をイラつくように聞き、娘の聖知はなぜこんな男を好きになったのか…怒りを覚えるほど笠松を睨みつける。
笠松自身は瑛一の言葉に桐生からも同じことを言われ、拳を握りしめてわからず何も言えずに顔を俯かせることしかできなかった。
「……夜道気をつけて帰れよ。」
「…っ…聖知は……なぜ…」
瑛一はマンションへ入ろうとすると、笠松は引き止めるように声をかけるとため息をつく。
「……はぁ……サービスで1つだけ教えてやる。
聖知は今も変わらずお前のことが好きだ。
ムカつくがな……
…だが…お前は別れを受け入れた。」
「…………っ!」
「…公園で俺を説得する時言ったよな…
聖知の気持ちに寄り添いたいって……」
「何が寄り添うだっ…!
できねえなら言葉にすんじゃねえよ!
……俺から言えるのは以上だ。
…さっさと帰れよ。」
瑛一は声を荒らげ…笠松を怒鳴る。
聖知の気持ちを理解できない男を認めたのかと思うと情けなくなり言いたいことだけ告げるとマンションまで入って行った。