第43章 諦めない
「っ……聖知の怪我が心配で…
あの…病院の診断はどう…」
「……なぜ俺に聞く。」
「っ……」
「自分で聞けばいいだろ。それともアレか…?
別れたから話もしたくないってか?」
「っ…!!」
聖知の様子が気になり怪我の具合を聞こうとすると瑛一は途中で話を遮る。
笠松は別れた話を知られているとそれ以上何も言えず唇を噛み締める。
「先に言っとくが、聖知から聞いてないからな。お前と別れた話も、怪我した本当の理由もな…」
「っ………すいませんでした…
聖知を守ることができなくて……」
「……?
なぜお前が謝る…?」
「聖知が……別れ話をしたのは……俺が不甲斐ないから……守るって約束したのに守れなかった………だから…聖知は……俺と……先輩と後輩の関係に戻りたいって………」
全てを知っている瑛一に、笠松は深々とお辞儀をして謝る。その様子を瑛一はじっと見て笠松の言葉を最後まで聞くと呆れたようにため息をつく。
「……なんだそれ…
桐生から話を聞くまでは半信半疑だったが……
……お前にはがっかりだ。」
「…っ……!」
笠松は瑛一から言われた言葉に心にズキっと突き刺さるように申し訳なく思い顔をあげることができなかった。