第43章 諦めない
「…………」
部活の帰り道…
笠松は家に向かって足を進め、思い浮かぶのは聖知のことだった。
声が聞きてえ……
怪我の具合や体調はどうなんだ……
飯とかきちんと食べれてんのか…
そもそも動けんのか……
でも……
俺に会いに行く資格があんのか……
脳内でグルグルしたマイナスネガティブな思考で考えていると笠松はいつの間にか聖知の住んでいるマンションへと足を運んだ。
「…………」
聖知に会いたい…
会って話がしたい……
素直な気持ちに従うように笠松は持ってた鞄をギュッと握りしめマンションへと入ろうとしたが…………
入れなかった
「おい……何やってんだ。」
「っ…!」
背後からさっきまで部活中に聞いていた覚えのある声にバッと後ろを振り向く。
ジャージ姿の瑛一がどこかで買い物した様子でマンションの前にいる笠松を見つけ眉間に皺を寄せ怪訝そうな表情を浮かべる。
全ての事情を桐生から把握しており…コーチとしての表情ではなく、聖知の父親として笠松を睨みつけていた。