第43章 諦めない
「先輩…お待たせしました。」
「おう。どうだった…
…水瀬の怪我の具合は……」
「………その前に…
…先輩は、聖知が怪我をしたのは誰から聞きました?」
「水瀬本人からだが……」
「……そうですか…」
体育館に戻るとレギュラーはメニューを何とかこなして休憩しており、他のメンバーはまだ終わっておらず息を乱しながら身体を動かし続けていた。
瑛一は、監督から聖知本人が話したことだと聞くと表情を曇らせ、心配させないために嘘をついたことであっても心苦しい気持ちになる。
「なぁ……笠松、聖知ちゃんどうかしたのか…?」
「…………」
「なぁ…笠松…聞いてんのか?」
「森山先輩…聖知っちと笠松先輩別れたらしいっすよ。」
「……へ…?
え……いやいや…嘘…だろ?」
「だから…笠松先輩…聖知っちの事聞いてもわからないっすよ。」
「休憩中に無駄口叩くな。」
森山は別れたと聞いて驚き、黄瀬は周囲に別れたことを広めるような話をする。黄瀬の言い方にギロっと笠松は睨むと休憩時間を早めに切り上げ練習へと戻る。