第43章 諦めない
「安心なんかできるわけねえだろっ!!
聖知は怪我してんだぞ…!
傷でも残ったらお前に責任がとれんのか……
お前の仕事は監視なんだろっ……
なのにどこに目つけてやがんだっ!!」
「…申し訳ございません。今のは失言でした…返す言葉もありません。」
桐生に怒鳴り怒りが収まらなくて瑛一はその場から離れて小林という学生を探そうとサッカー部へ向かおうとした。
「どちらに行かれるのですか。」
「あの野獣を警察機突き出してやる。」
「おやめください。旦那様がやれば、強要罪で捕まリます。」
「知らねえよ。俺は自分でやったことを償わしたいだけだ。あの様子なら聖知に謝罪もしてねえんだろ。」
「この件は私に一任していただけないでしょうか。」
「……は…?
お前に任せることなんかできるわけねえだろ」
「今回のことは、私に非があります。
あの男をこのまま放置はしません。
どうか。この場は…お引きください。」
娘である聖知を助けることができなかった桐生に聞く耳を持たず歩いて行くと腕をしっかりと強い力で瑛一は引き止められる。
桐生を殴り倒してでも小林を探そうと思いふと桐生の目を見るといつもの小馬鹿にした様子はなく真剣な表情で訴えかけてくるものがあり…瑛一はフッと笑う。
「…条件付きならいいぜ。」
「何でしょうか。」
「今日中にあの野獣をこの学校から消せ。できないなら聖知を転校させてお前をクビにする。いくらお前がババアのお気に入りでも…聖知を守りきれなかったと知ったら…どうなるだろうな……」
「くすっ…お望みのままに。」
条件を聞くと桐生はさほど難しい内容ではなく口角を吊り上げて微笑み軽くお辞儀をしてその場から離れる。
「ちっ………戻るか…」
桐生がいなくなったのを見届け、瑛一は体育館へ戻り練習をしている部員たちと合流した。