第42章 波乱
「笠松様。貴方には見損ないました。」
「っ…!!」
「お嬢様を助けられなかったということではありません。貴方は何もわかってはいない。」
「どういうことだ………」
「貴方はお嬢様のことを本気で好きではなかったということです。まさか…そのことに見抜けないとは……残念です…」
「っ…俺は本気だっ…本気で聖知の事っ…」
「ならなぜ別れるのですか?」
「………聖知が…別れて欲しいって…」
「理由は聞かれました…?」
「……守るって約束したのに…守れなかった。聖知は助けに間に合わなかった俺に……感謝してるって言ってた…でも……その後別れるって……こんな…好きな女1人守れない男なんか……いらねえってことだろ…」
今でも…聖知から別れるって言った言葉を鮮明に思い出す……
俺は何の力にもなれねえ……
「そうですか……なら2度とお会いすることはなさそうですね。最後に1つ申しておきましょう。お嬢様が貴方に別れを告げたのは貴方が助けに間に合わなかったことでも約束を守れなかったからではありません。」
「…っ…他に理由なんか………
何で…聖知は…俺に別れるって…」
「……もう関係ないのでしょう…?
それに…聞く相手が違うのでは…ありませんか?」
「っ……」
「では、短い間でしたが楽しかったです。では…」
桐生は聖知が「別れた理由」について仄めかすように伝えると笠松は別れた理由について問いただそうとする。
その様子を見て桐生はクスクスと嘲笑し、ニッコリと微笑み姿を消し笠松は屋上に1人になる。