第42章 波乱
「…それ以上続けるのなら…どちらも処分が下りますよ…」
「「っ…!」」
お互い睨み合い拳を繰り出そうとした時、屋上にやってきた桐生に仲裁され止められる。それと同時に授業開始の予鈴がなり互いに拳を下ろし、小林は笠松を睨みつけたまま屋上を出ていく。
「暴力では何も解決しませんよ。」
「……そんなの…わかってる。
でも……俺にできるのは……」
「そういえば……水瀬さんと別れられたそうですね…
本人から聞きました。」
「っ…!…そもそも…あんたが聖知を助けに行ってれば…こんなことになってないだろ…」
「こんなことというのは…?」
「だから……あいつに襲われて……」
笠松は力なく拳を握りしめる。
聖知から別れを切り出され何もすることができなかった自分を腹立たしく感じ脱力すると思いがけない言葉に笠松は驚く。
「先に申しておきますが…あの方とお嬢様の間には何もなかったですよ。黄瀬様が助けに来ていただいたタイミングが良かったのか…気絶してすぐに黄瀬様が助けに入ったのが、あの男のスマホに記録されていました。」
「っ…!…でもあいつ…俺にっ…!」
「貴方を怒らせたかっただけなのでは…?……記録もありますし…」
「……そう…か……なら良かった………俺にはもう関係ねえ。」
聖知が無事だった。
その話に安堵し、それでも笠松は聖知との仲が戻るわけでもなく話を聞くと屋上から出て行こうとする。