第42章 波乱
「水瀬さん
少しは落ち着いたかしら……」
「はい……
あの……私も…教室に戻っていいですか?」
「ダメに決まってるでしょ?
さっき桐生先生にも連絡したから…3人で話を聞くわ。
だから…黄瀬くん、貴方は戻りなさい。」
「え…いや…でも……」
桐生と聞くと聖知は嫌な予感しかない。
襲われて…大好きな恋人である笠松に別れ話をして、とても話せる精神状態じゃなくて顔を俯かせる。
黄瀬は反論しようとすると保健室をノックする音が聞こえると桐生が入室する。
「失礼します………怪我をした生徒がいると聞きましたが…黄瀬くんはなぜここに…?」
「黄瀬君が怪我をした水瀬さんを連れてきてくれたんです。
ほら…黄瀬君、あとは任せて教室に戻りなさい。」
「…………」
桐生が保健室に入ると聖知を見て一瞬驚いた表情を浮かべすぐにいつもの表情に切り替える。
黄瀬がしぶしぶ保健室を出ていくと保健室の教員から椅子に座るよう促されると桐生はニコッと微笑み教員に手をかざすとフラッと教員は気を失う。
「っ……!」
「少し…眠っておいてください。」
教員が机に座ったままうつ伏せの体制で寝息を立てているのを見てクスッと微笑む。すぐに桐生は静かに聖知の寝ているベットまでに近づく。
嫌味か……馬鹿にされるのか……
もう………好きにすればいい……
どうでもいい……
長年嫌味を言われ続けてきた聖知にとっては心底どうでも良くなりため息をつき桐生の姿を見るのも嫌になり静かに目を閉じる。
しかし、聖知の想像とは遥かに違う言葉が桐生から発せられて自分の耳を疑った。
「お嬢様…大変申し訳ありませんでした。
この件は完全に私の失態です…
お詫びの言葉もございません。」
桐生は聖知の前に跪き深々と反省の意を示した。