第42章 波乱
「…聖知…怪我の具合は…どうだ…
痛むか……」
笠松は自分から意を決して聖知に話しかけると聖知もゆっくり話だす。
「……私…教室に帰ります…もうすぐ授業始まるので…」
「っ…何言ってんだ…!
まだ寝てるようにって言われただろ…」
「………何かしてないと…嫌なことばかり思い出してしまうので…」
笠松の問いには答えず、聖知はフラつく頭でベットから抜け出そうとすると両手で止めらられる。
このままここにいると嫌な記憶で埋め尽くされ…何より笠松が襲われた事実についてどう言われるのか聖知はたまらなく怖かった。
「聖知……悪い…守れなくて……」
「………なんで…謝るんですか……」
「俺が……悪いんだ……
俺のスマホを盗まれて……」
いつも以上に優しく壊れモノのように聖知を抱きしめると責任を感じて謝り…スマホを盗まれた経緯から話始める。
「…笠松先輩は…悪くないです…そんな状況だったのに…助けようとしてくれたんですね……ありがとうございます……」
「……聖知…」
「……あの……こんな時に……
言うことじゃないんですが……」
「……どうした……?」
聖知は笠松から話を聞いて、振り回されても助けようとしてくれたことが何よりも嬉しくて…同時に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
脱力したように聖知は悲しそうに笑うと笠松に告げる。
「……別れてください…笠松先輩…」