第42章 波乱
俺は…全速力で走って体育館へ向かった。
『手遅れ』
そんなはずはない…絶対間に合う
そう思ってた……
血を流している聖知を見るまでは……
保健室に入ってもカーテンが閉まっている聖知が寝ている方に目を配り何も考えられなかった…
なんでもっと…早く助けることができなかったのか
俺が…小林にもっと注意していれば……
聖知は怪我なんてしていない。
保健室の教員が出した薬品が『劇薬』と聞くとすぐに小林の顔が浮かんだ。あいつの親は医者だ。あいつが聖知に使ったものだとすぐにわかり怒りで頭がおかしくなりそうだった。
俺と黄瀬が聖知が怪我をした事と無関係だとわかると改めて聖知の容態を教えてくれ内心ホッとはするが気持ちは晴れない。
聖知に会わす顔がない……
黄瀬の言う通りだ
すぐ近くにいたのに…なんも守れてねえ……
そんな気持ちの中聖知が意識を取り戻す。
咄嗟に近づこうとすると黄瀬がすぐに聖知に近づき…声もかけられないまま伸ばした手をすぐに引っ込める。
「……聖知……大丈夫か……」
意を決して、俺らしくない…弱々しく声をかけると聖知は驚いた表情ですぐに悲しそうに俺から顔を逸らされる。
なぜか室内に2人きりにされ…お互いに何も喋ることもなく…ベッドの近くにある椅子に座るとまるで話をするのを拒否するようにそっぽを向かれる。