第42章 波乱
「っ……!」
「聖知っち!」
笠松が近づこうとすると黄瀬が聖知に近づいてゆっくり手を握る。いつもの笠松なら1番に近づきたかったが…自分のせいで危険な目に遭わせてしまった負い目を感じ力なく黄瀬と聖知の様子を見守っていた。
「………ここ…どこ……っ…」
頭を抑えながらゆっくり起き上がると痛みが走り、薬が抜けきってないのか眩暈がして視界が歪む。
「水瀬さん…ここは保健室。
まだフラフラすると思うから無理しないで寝てて…
黄瀬君が気絶した貴方をここまで運んできてくれたのよ。」
「……そう…ですか……
……ありがとう…涼太……」
「聖知……大丈夫か…?」
「っ…!…笠松先輩………」
笠松の声が聞こえると聖知は驚き…
−–––すぐに目を逸らす。
自分がなぜ気絶したのか……
なぜ怪我をしてしまったのか…
鮮明な記憶として甦り…寝ていた布団をギュッと握りしめて何かを我慢するかのように顔を俯かせている。
「………黄瀬くん…ちょっと…外で話いいかしら…」
「え……なんで俺…」
「いいから……笠松くん…すぐ戻るから…水瀬さんをお願いね。」
教員は水瀬の様子を見ると、気持ちが高ぶって話ができる状況ではないことを察すると笠松と聖知、黄瀬を観察する。
女の勘で三角関係だと察すると黄瀬に対する接し方と笠松に対する聖知の様子を見ると明らかに違うのがわかり黄瀬を引きずるように保健室から出ていく。