第42章 波乱
「先生…聖知っちは……」
「その前に……こうなった経緯を説明してくれる?
どこで怪我をしたの…?」
「…………俺が……階段で話をしてたら…
落ちてしまって……」
保健室に入ると聖知はまだ意識が戻らなくて頭には包帯が巻かれ応急処置が施されていた。
黄瀬が聖知に近寄ろうとすると保健室の教員にカーテンを閉められて遮られ…2人は保健室に常設されている椅子に座るよう促される。
黄瀬は事実を話すと、聖知がさらに傷つき…事態が広がるのを恐れて咄嗟に嘘をつく。
花宮に襲われた時も…聖知は
ひどく落ち込み…傷ついてきた姿を幾度となく見てきた。
もう…そんな姿見たくない…。
黄瀬は自分が悪く思われても聖知を守りたい気持ちでいっぱいだった。
笠松は嘘をついてる黄瀬に何か言おうとするが…何も言えず自分の不甲斐なさに拳を強く握りしめる。
「黄瀬くん……本当に水瀬さんは…
階段から落ちて怪我をしたの?
なら…なぜ階段から落ちたのか教えてくれる?」
「……えっと………
俺と…話しながら………足を踏み外して………
俺が急に話しかけたから………」
「……そう。それが真実なの?」
「………はい…」
「…なら…貴方は…
倒れてる彼女に何をしようとしてたの…?」
黄瀬の真意を探る様に教員は腕を組み黙って話を聞き小さくため息をつくと席を立つ。
鍵で厳重に管理している薬品棚からある薬瓶を取り出し2人の前にコトッと机に置く。