第42章 波乱
「いねえッ…」
中庭には数人の生徒しかいなくてその中に聖知の姿は見つからなかった。
「どこにいるか…知りたいですか…?」
「ッ…なんで…ここに…」
まるでここに来るのがわかっていたかのように教師に扮した桐生が待っていたかのようににっこり微笑み笠松にゴミ箱に捨てられていたスマホを投げる。
「これ…俺の…なんで俺のスマホを…」
「私ではありません。…小林という生徒が持っていました。」
「ッ!………ッ…なんだこれ…」
『小林』と聞くとこめかみに青筋を立てるほど苛立ち拳を強く握りしめる。
怒るよりも小林が自分のスマホで何をしていたか確かめるためにスマホを触ると送った覚えのないLINEのメッセージを見つける。
「水瀬さんは、第1体育館にいますよ?」
「……何で…知ってて…何も助けねえんだよ…ッ…
一体…聖知のこと…
あの小林がどういう奴か…知ってんだろッ…」
俺のスマホを小林が持ってるって知ってたってことは…
見てたってことだろッ…!
何でいつもいつも…危険な目にあっても…
平然といられんだよッ…
心配じゃねえのかよッ…!
「知っていますよ…?
私が調べたとこによると…隠蔽されていますが…
彼は過去に婦女暴行事件を起こしています。
笠松君…いつも大人が助けてくれると思ったら…
大間違いです。
自分たちの問題は自分たちで解決すべきです。
……のんびりしてていいのですか…
まぁ…手遅れかもしれませんが…」
ニコニコと微笑みながら平然とした態度に笠松は苛立ち、桐生を睨みつけ感情的に怒ると微笑んでいた桐生から笑顔が消える。
目を細め今まで見せたことのない冷たい表情を見せてクスリと笑うとその場を去っていく。