第42章 波乱
「何がおかしいのよ。」
「いえ…ただ…本当に…表情豊かになったと思いまして…これも笠松様のおかげ…ってことですかね?」
「……予鈴なるから教室に戻る。」
「あ、お嬢様…差し出がましいようですが…校内では慎みのある行動を心がけてくださいね…」
「……貴方こそ…生徒に軽々しく触れる教師は…ただのセクハラでしょ…今は…教師なんだから疑われるようなことしないようにね。」
聖知は桐生を睨みつけると屋上を出て行こうとする。
去り際に桐生は腕を掴みにっこり微笑みながら遠回しに笠松と抱き合っていたことを釘を刺すように伝える。
聖知は腕を振り解き、桐生に教師のあり方を伝えると仕返しとばかりにニコッと微笑み屋上を出て教室へ戻る。
「あのクソガキ…」
本当に…生意気に育ちましたね…
この間、私に…お礼を言ってたお嬢様はどこへ行ったのやら……
幻か夢だったんでしょうか…
なら教師として…みっちり勉強を教えなくては…
難問ばかり当てて…泣いて縋る姿でも見させてもらいましょうか…
誰もいなくなった屋上で吐き捨てるように呟くとため息をつき眼鏡をかけ屋上を出る。
次の授業の準備をするため、沸き立つ黒い感情をなるべく抑えて職員室へと向かった。