第41章 新コーチ
「…あ…私…部誌書いてきますね…」
「え…聖知っち…?」
「え…ちょ…待っ……
ほら…笠松のせいで…癒しが…」
「お前が仕事の邪魔するからだろうがッ…!」
備品を持って思い出したように体育館を出ていく聖知。
引き留める間もなく行ってしまうと笠松たちが争っている後ろで瑛一が鬼の形相で立っているのに気づいていない。
「おい……ガキども……
元気が有り余ってんなら……
俺が今から直々に……
…みっちり指導してやろうか……」
「「「…!」」」
「おい…どうした…
人の娘たぶらかしといて……もう元気ねえのか……」
バスケットボールを持ちながら瑛一はイラついた表情を浮かべてドスの効いた声色で3人に迫る。
監督の武内は呆れ果て止めるのをやめてしまい体育館へと出ていく。
「ま…まさか…たぶらかすだなんて……
なぁ…笠松……小林じゃあるまいし……」
「ば…馬鹿ッ!…それ…言うな…ッ…」
「小林……誰だそいつは……
……バスケ部にはいねえよな……」
「小林……?誰っすか…笠松先輩…」
森山の口から小林の名前が出て焦り止める間も無く、瑛一は「小林」と聞くと怪訝そうな表情を浮かべて笠松を睨みつける。