第41章 新コーチ
「昨日で試合が終わって、あと1週間でアメリカに帰国するみたいです。」
「そうか……なら…寂しくなるな…」
2人は会話をしながら部室に入ると…そこには……
「おい………何……朝からイチャイチャしてんだ………」
ジャージ姿の瑛一が部室で竹刀を持ちながら待ち構えていた。
「「ッ…!!」」
2人は突然のことすぎて手を慌てて離す。
なぜ…ここにいるのか…なぜ木刀を持っているのか…
わけがわからなかった。
「お…お父さん……なんで……ここに…いるの……」
「……部活は9時からだろ…聖知こそ…なんでこんな朝早くからいるんだ。」
「それは…俺が……自主練に付き合ってくれって…」
「ち…違ッ…私が笠松先輩の練習に…ついていきたいって…言ったの!」
竹刀を肩に構えながら聖知に不機嫌そうにきく瑛一。
部活前から恋人である笠松と一緒にいるのを見ると自然と眉間に皺を寄せイライラしている様子だった。
お互いに庇い合うと瑛一はため息を吐く。
「まぁいい………特別サービスだ。練習前に俺がお前の練習に付き合ってやる。聖知はサポートをしろ。」
「……え…?…で…でも……」
「なんだ……コーチの言うことが聞けねえのか…?」
「いや……え…コーチ……?」
「あぁ…1週間限定だけどな……
武内先輩に頼まれてな。言っとくが……
今までの生ぬるい練習で済むと思うなよ……」
瑛一はそのまま体育館へと向かって部室を出ていく。
コーチの話など…監督からも聞いていない。
父である瑛一から聖知も何も聞いていなかった。
困惑しながらも2人は瑛一の後を追いかけて体育館へと急ぐ。