第39章 看病と真実
「ッ…もう十分だろ……勉強とか…
…バスケ部に関わってるからとかいう前にッ…!
…心配じゃーねーのかよッ!
あんた…小さい頃から側にいたんだろ…
なんでッ…少しは思いやる気持ちで…
…接してやれないんだよ…
……聖知…俺…平気だから……帰るぞ…」
「……はい…」
笠松は桐生の放った言葉に我慢できずにベッドから立ち上がると怒鳴るように言い返す。
笠松にとって、花宮の話を聖知がするのは辛い気持ちを押し殺して苦渋の気持ちで話していたことを知っていた。
それにも関わらず…執事の桐生から出てくるのはバスケ部に対する軽んじる言い方や勉強だけしてればいいという話しか出てこず…聖知を心配する言葉など一切何もなく…それが笠松には許せなかった。
笠松はこれ以上聖知に辛い思いをさせたくないと思いこの屋敷から早く出ようと聖知の手を繋いで歩いていく。
「…お嬢様…心配はしてますよ?
きちんと…勉学に励んで下さいね…今を守るために…」
「…………」
笠松と聖知が客間を出て行く前に、執事の桐生は笠松放った言葉に臆することなくにっこりと微笑み最後まで勉学の話を続ける。
その言葉に、聖知は何も反応することなく笠松と一緒に部屋を出ていき如月家を後にした。