第38章 リベンジと初仕事
「はぁッ…はぁッ……」
あれからどこを走ったかわからないまま最初にいた場所から随分と離れてしまった…
笠松先輩の所に戻りたいけど…
近くに花宮がいたらと思うと戻れなくて…再び移動しようとすると後ろから誰かに手を強く掴まれてショッピングセンターの広めの試着室への中へと引き込まれる。
「やッ…!」
「ッ…聖知ッ…俺だ…ッ…探したッ…」
「ッ……な…なんで…」
「ッ…シッ…静かにしてろ…」
いきなり引っ張られて花宮かと思い抵抗しようとすると息を切らせている笠松先輩がいてギュッと抱きしめられる。場所がなぜわかったか聞こうとすると口を手で覆われカーテンの隙間から花宮がいるのが見えた。
「ッ…!」
花宮はこの付近をウロウロしていてなかなか離れなくて執拗に追われている事に怖くなり身体が再び震え出す。
「………」
それを察してか笠松先輩は抱きしめたまま優しく頭を撫でたり背中を摩ってくれて安心させてくれた。
「聖知……行くぞ…」
「ッ………」
「大丈夫だ……俺が守る…絶対に離さねえからついてこい。」
「………」
しばらくすると、近くにいないことを笠松先輩が確認すると私の手をギュッと握りしめ、不安げな表情をしている私を再び抱きしめ守ると言われるとゆっくり頷いて一緒に試着室を出る。