第37章 如月家
ーー笠松視点ーー
「聖知……大丈夫か…?」
豪邸を出て道なりを歩いていると聖知の様子が心配になり声をかける。
そばで聞いてて気分が不快になるくらいの会話に聖知が淡々と話しているのを見てずっとこうして乗り切っていたのかと思うと怒りを覚えた。
俺がキレて言ったことも軽々と丸め込まれて結局なんの力にもなれなくて、歯痒いやるせない気持ちになる。
あんな…毎日のように毒を吐くように言われて……
誰も…いないあんな広い家で…1人だったんだな……
改めて…聖知の教えてくれた過去の話は俺の想像を超えるくらい闇深いものがあるのだと思った。
「……ちょっと…疲れましたけど…大丈夫です…1人じゃ…正直わからなかったですけど……幸男さんが一緒にいてくれたので……」
「ッ……悪い…結局何もできなかったな…」
「そんなことないです…あの時…庇ってくれて…とても嬉しかったです…///だから負けずに最後まで話すことができました。」
なんの力にもなれてないと思っていたが…聖知が顔を赤くしながらお礼を言われると少しは聖知の力になれたのだと思い自然と自分も赤くなり嬉しくなる。
「ッ…///…そ…そうか…?でも…本当に…びっくりしたな…なんであの血が偽物だって聖知はわかったんだ……?」
「……勘です……性格の悪いあの男のやり口を見てきたせいか…なんとなく嘘だなって思いました…それに…殺しても死なないような男が簡単に死ぬなんてどうしても信じられなくて…」
勘だけでわかるものなのかと思ったが、なぜか「殺しても死なないような男」という聖知の言葉になぜか妙に納得してしまった。
「いつも…あんな酷いこと…言われてたのか…」
「……日本に来てからは特にそうですね……」
そう言う聖知は苦笑いを浮かべて笑っていたが、どこか目が悲しそうな表情を浮かべていた。
ーー笠松視点終了ーー