第7章 花宮 真
あれからさつきちゃんに電話がすぐ繋がったことが幸いだった。
なぜか涼太もその場にいて涼太が電話に出た。
「涼太……わからない。建物の場所がどこにあるのかも……涼太…今まで色々…ごめん…っ…」
決して泣くまいと思うも涼太の心配する声に気持ちが緩み泣きそうになり一筋の涙が流れた。
「大丈夫か?諦めるな。場所がわからないなら近くに窓はあるか?あと知らない建物と言ったが外観だけでもわからねえか?」
「…っ……笠松さんっ……窓…看板が見えます…どら焼きのマークがついている…それと…どこかの潰れたホテルの廃ビルで…」
「ちゃんとわかってるじゃねえか。今から探しに「ハッ…呑気に電話か?1分たったぜ…精々楽しませてくれよ?」」
電話に次に出たのが笠松さんだった。驚いたけど笠松の声を聞いて恐怖や恐れなどの感情が沈み自分でも安堵するのがわかる。
笠松さんと話をしているうちに後ろから花宮が近づいて来るのがわかる靴音と獲物を狩る獣の表情を浮かべ舌舐めずりをした。
「っ……」
私は驚いて携帯を切りその場から逃げ出した。
花宮が張った罠があるとも知らずに…
「おい!…ちっ…おい、黄瀬この近くでどら焼きの看板があるかホテルの廃ビルは近くにあるか?」
「たしかホテルの廃ビルならこの近くの路地裏通った通りにあるっす。気持ち悪くて誰も近寄らなくて有名っすよ。」
「わかった。案内してくれ。」
「私も行く。」
その頃笠松さんと涼太とさつきちゃんは私のいる場所を見つけ出そうと喫茶店を出た。