第35章 別れと不穏
京都の赤司家では聖知の祖母紅羽が赤司家の当主と対談のため訪問していた。
ーー京都 赤司家 回想シーンーー
ーー紅羽視点ーー
「では…例のお話ですがご検討いかがでしょうか。」
「是非とも進めていただきたい。息子の征十郎も聖知さんのことは気に入っていてあれからいくつか縁談の話があったが彼女以外は考えられないという結論に至りました。」
「ありがとうございます。」
「ですが…紅羽様も思い切った事をされましたね。聖知さんを赤司家に嫁ぐに値するかどうか3年間時間をかけて吟味してほしいと頼まれた時は驚きましたよ。」
聖知を留学させたのは赤司家に聖知を嫁がせるため。
聖知が日本に行きたがっている話を聞いて好都合だったわ…
聖知が一人暮らししている話を聞いた時は肝を冷やしたけど…
なんら問題ないわね……
「女性が殿方の方へ嫁ぐに値するかどうか吟味していただくのは当然です。聖知には日頃から愛情を持って厳しく育てましたから…ご子息様にも気に入って貰えるなんて見に余る光栄です。」
「では、婚約はお互いが18歳になった頃合いを見て、婚姻は大学卒業後ということでよろしいですね…」
「そうですね…それまでは…交際期間ということで…ただ……京都と神奈川では遠距離ですわね……至急聖知を洛山高校への転入手続きの手配をさせていただきます。そのほうがより親密になれると思いますわ。」
「お待ちください。紅羽様…ご無沙汰しております。その転入について一任していただけないでしょうか。」
部屋に一礼して入ってきたのは赤司家の次期当主赤司征十郎。
既に振る舞い、行状、動作…全てが次期当主として恥ずかしくない振る舞いでしっかり教養が身についていることがわかる。