第35章 別れと不穏
「笠松君の話は気になるけど…またおいおい聞くということで……。実は……聖知に…話したいことがあるの…」
「ッ…///……はッ…話って……何…?」
「1つは聖知をアメリカの連れて行こうと思った本当の理由について、2つ目は桐生について…ってことかしらね……」
「……本当の理由……?」
「落ち着いて聞いてね……まだ正式ではない話だけど…ほぼ確定といっていい…貴女には…婚約者がいるの。」
「…え……」
急に母の表情が真剣な顔つきになったのを見て重要なことだと思い聞いていると内容的に自分のにとってあまり良い話ではないことだと悟る。
婚約者と聞いて驚き頭が真っ白になっている中、優しく穏やかに母が続きを話し出す。
「あ…でも、安心してね…もちろん結婚なんかさせないから…。実はその婚約者は日本にいる方でね……最初は…アメリカに結婚なんかさせないよう連れて行こうと思ってたの。」
「……うん…その……婚約者って…誰なの……」
「それは………」
「……え…」
母から婚約者の名前を聞いた時、驚いた。
なぜなら、その人は、私がよく知る帝光中学の元チームメイトの名前だった。