第35章 別れと不穏
その後お嬢様のパスポートを使用できないように停止させ、空港にいる如月グループの配下の者にアメリカに渡米するようなら速攻紅羽様に連絡した後、お嬢様を捕獲するよう指示を出して受話器を置く。
お嬢様も帰るのは嫌がってましたし……問題はないとは思いますが……
もし…帰るようなら……悪く思わないで下さいね……
ーー回想シーン終了ーー
まぁ……結局、無駄に終わりましたが……
澄香様もこの3年の間にすっかり…如月家のトップに相応しい姿になられましたね……前よりも人望にも恵まれて…私のやってることを見透かされるとは思いませんでした。
さて……今後はどうしましょうか……
執事室の引き出しから偽造した教員免許の資料を取り出してくすっと笑み「楽しくなりそうです」と溢し仕事へと戻る。
ーー海常高校 教室ーー
「ぁ……お母さんから…」
『明日でアメリカに帰るから、今夜聖知のマンションに泊めてね♡』とメッセージが入っていた。
『今日部活あるから遅くなるけど…20時頃になるけどいいの?』と送信するとメッセージがすぐに返ってきて『もちろん、OK♡』と表示されていた。
「明日で…帰るのか……」
初めて、お母さんが、帰ってしまうことに寂しさを感じた。
分かり合えるようになり、寂しい気持ちを今まで忘れていたのかと思っていると昼休みの時間のため笠松先輩との待ち合わせ場所へと向かった。