第35章 別れと不穏
ーー桐生視点ーー
………まったく……
如月家の女性の方々は……
皆様……自由人で…羨ましい限りです……
ーー桐生の脳内回想シーンーー
聖知「この家をでたら私の前、周辺に一切寄りつかず姿を見せないで。」
紅羽「今日から、聖知の動向に注意して監視しなさい。毎月の聖知の調査報告も貴方に任せるわ。」
澄香「聖知を守ること…中学は貴方…聖知の命令で…ほったらかしにしてたみたいだけど……今後はちゃんと危険がないかどうか見守りなさい。」
ーー桐生の脳内回想シーン終了ーー
近づくな、監視しろ、危険がないか守れ……
皆様…空気を吸うように…言いたい放題ですね……
まぁ…お嬢様のご命令は紅羽様と澄香様のご命令があるので時効ですね…
私は澄香様を送ると深々とため息をついて「皆様…我儘ですね」と吐き捨て自分の仕事に戻った。
でも……澄香様が気づいてたのは意外でしたね……
ーー回想シーンーー
「あのババア、聖知がここにいないこと気づいたんだろ?何を命令されたか言え。」
「その件については私がうまく説明しておきました。紅羽様からは、お嬢様の身辺の害虫探しを命令されました。くすっ…瑛一様のようなお方がお嬢様の周辺にいないかご心配のご様子でした。」
私は…旦那様の訪問の目的を探るべく後ろを向いてる隙にマイクロチップ並みの小さい盗聴器を瑛一様のジャケットのポケットに忍ばせました。
その日の夜……
「……俺と…アメリカに帰るんだ…。」
「……い……や……」
「…勘違いするな……お前をあの屋敷に戻すつもりはない。俺と一緒に来るんだ。2度と如月家には近づけさせない。もう、嫌なことなんかしなくていいし…自分のやりたい事をやればいい…」
「やれやれ…やはり……そうでしたか……仕方ありませんね…」
何かを叩く音がしてお嬢様の声がしなくなったのかと思うと喧嘩でもしたのだと思い聴くのをやめてアメリカにいる紅羽様に電話をかける。
「紅羽様…お久しぶりでございます……実は…瑛一様が……」
「そう…あの男らしいわね。どんな手を使ってもアメリカには帰らせないよう阻止なさい。」
そう言われるとすぐに電話が切れてため息をつき受話器を置く。