第35章 別れと不穏
「さあ……どうでしょう…。ご想像にお任せします。」
「そう…もう…いいわ…今となっては関係ない話だし……それで…何故母に報告しないの…」
「……さぁ……瑛一様にもお伝えしましたが……強いて言うなら…私が…害虫と判断しなかった…とだけ…お伝えしておきます。」
「…………そう……」
相変わらずはぐらかす態度にため息をついて、聖知はアメリカに行かさないのが正解だったと安堵する。
もう一つの疑問の真意を探ると、「害虫と判断しなかった」って事に疑惑を抱く。アメリカに帰った時からの付き合いだがやはり何を考えているかわからず考えても無駄だと判断してため息をつく。
「私…書斎で調べ物するから…気を使わないで仕事に戻っていいわよ。」
「かしこまりました。」
私がそう言うと桐生は執事室へと帰っていく。
書斎でお昼頃まで仕事と調べ物を済ませるとさっさと屋敷を出て行こうとすると桐生がホールで待っていた。
「奥様…いってらっしゃいませ…」
「……貴方……たしか…今は、母から聖知の監視役と報告を兼任してるんだったわよね……」
「…監視だなんて…私は遠くからお嬢様を見守ってるだけですよ…?」
「それを監視って言うのよ。じゃあ、私からも1つ貴方にお願いするわ……」
「……なんでしょうか……」
「……聖知を守ること…中学は貴方…聖知の命令で…ほったらかしにしてたみたいだけど……今後はちゃんと危険がないかどうか見守りなさい。…貴方のことは信用してないけど…貴方の素質には信頼してるから…この命令なら…母も望んでる事なんだし…文句はないわよね…?」
「……かしこまりました。本当に…皆様…自由で羨ましい限りです。」
私は桐生を指差して、今後は聖知の身辺に危険があるようなら守るように伝える。この男は信用ならないけど腕だけは信頼できるためきちんと守るように釘を指し屋敷を出て明日にはアメリカに帰国するため聖知に連絡を取った。
ーー澄香視点終了ーー