第35章 別れと不穏
ーー日本 如月家ーー
ーー澄香視点ーー
「奥様……ご無沙汰しております。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「久しぶりね……今日は貴方に聞きたい事があって……」
「なんでしょうか…?」
私はホテルに戻り身支度を整えるとあらかじめ訪問する予定だった日本にある如月家へと向かう。瑛一さんも誘ったけど「誰が行くか」って言ってたとこから察するにおそらく桐生と言い合いになったことは予想ができた。
さっそく訪問すると、作り笑いを浮かべている桐生にある言葉を放った。
「貴方……一体何が目的なの……いえ……何を企んでいるの…?」
「………瑛一様といい……奥様といい…そんなに私は悪人ヅラみたいな顔をしてますか…?」
「とぼけないで。……貴方……私が聖知を連れ出そうとしたら…罠をかけようとしていたでしょ……それなのに……母には……聖知と付き合っている男の子に関して黙っているみたいね……何を考えているの……」
「…くすっ……なんのお話なのか…さっぱり見当がつきません。……ただ一言…言わせてもらうとしたら……私はご命令に従ったまでです。」
真剣な表情で桐生に疑問を投げかけるとさも、当てつけるように深々とため息をついて冷たい表情を浮かべる。
昨日、部下の報告では…もし聖知を無理矢理アメリカに連れて行こうとしたら…聖知のパスポートは使用不可にされていただけではなく、空港に潜んでいる如月グループの配下の者が自動的に母に連絡する手筈を取る手筈となっている報告があった。
私たちが、聖知を連れて帰ろうとするなんて誰にも言ってないし…知らないはず………
間違いないのは……この男は…私たちが聖知を連れ出すのを知っていた……外部と連絡を取るには必ず、情報を握っている者がいるはず…
まさか……この男……
「貴方…まさかとは…思うけど……盗聴してたの?」