第34章 信頼の大きさ
「…聖知は……笠松君のこと……信頼してるのね…」
「うん……信頼してる……笠松先輩に出会わなかったら…こんなふうに話しようなんて思わなかった…」
「そう……なんか…私もその笠松君に会ってみたい……ここに呼んでもらうことはできる……?」
「………実は……今…お父さんと……」
「…ん…?…お父さん…?」
私が話したことに、父と違って反対もすることもせず、柔らかく微笑み手を優しく握ってくれた。笠松先輩をここに呼んで欲しいと言われると、今、お父さんに説得するために公園にいる事を伝えると「絶対話聞かないでしょ」と言い部屋から出て行こうとする。
「あ…私も……」
「聖知はここにいなさい。私が話をするから……大丈夫…少し話するだけだから…安心して待ってなさい…」
そういうとお母さんは部屋を出てお父さんと笠松先輩のいる公園へと向かって行った。
ーー澄香視点ーー
聖知とは3ヶ月に1回会っていた……
幼少期の頃に比べて笑うようにはなってはいたけど…
どことなく愛想笑いで…いつも何を聞いても「特にない」とか「大丈夫」ばかりで親子らしい会話なんて今まで全然なかった。
こんな風に聖知が自分の気持ちを話ししてくれたのは初めてで…驚いたのはもちろん、自分がトラウマを抱えている幼少期のことや如月家の話をしている事を知り、聖知は、とても交際1ヶ月とは思えないほど笠松君を信頼していることがわかった。
聖知が話をしてくれるようになっただけでも……私はその笠松君に感謝したいくらいの気持ちでいて…聖知のあんな泣きそうな顔でアメリカに帰りたくないって言われると…無理矢理連れて行くことなんてできない。
……私自身も好きな人と離される苦しみはわかっている…
とりあえず…瑛一さんが暴走する前に私は公園へと急いで向かった…
ーー澄香視点終了ーー