第34章 信頼の大きさ
ーー笠松視点ーー
「どうも…」
「…バスケ部の主将が…何でここにいる?」
「俺が、聖知に瑛一さんがここに来てもらうよう頼みました。話を聞いてもらうために。」
「……なるほどな……通りでいつもより素直だと思った……俺はあいにくお前と話す事はねえ。その様子なら聖知から話聞いてんだろ。俺が言うのは1つだけだ。聖知とは別れてくれ……」
「…聖知とは…別れるつもりはありません。」
「そうか…じゃあ…聖知をアメリカに連れて帰るだけだ。きちんとした別れができないならそれでいい。」
公園には夕方のせいか誰もいなくて静まり返った中まずは挨拶をして話しかけた。最初は緊張して話しかけていたが…聖知の言う通り本当に聞く耳持たねえ感じに焦りを感じる。深呼吸して再び俺の方から話しかけ始めた。
「聖知自身は…俺と別れることも、アメリカに帰ることも望んでいない…。本人の意思を無視してまで強要することが瑛一さんのやり方…何ですか…」
「ガキが舐めた口聞くな……これ以上は議論の余地はねえ…聖知と話す。…どうせマンションだろ…」
瑛一さんに聖知が望んでいない話をしても、冷たい目で睨みつけられると正直ビビって言葉に詰まりそうになる。
冷静に話しようと目上の相手に丁寧に話を進めていたが「ガキ」と言われて抑えていたものが外れたかのように眉間にピキっと血管が浮き出るように苛立ちを覚えた。
「話はまだ終わってねえ………それに…ガキじゃねえッ!!」
気がつくと俺は背を向けて帰ろうとしている瑛一さんに公園に響く大きな声で叫んでいた。