第33章 娘と父親
「……何が……あったんだ?」
「………笠松先輩との…関係性について聞かれて………付き合っていることを…話したら…………すぐに別れろって……言われて……」
「…………」
「……アメリカに連れて帰るって……言われました……。それで…口論になって……」
「ッ…!…そうか……聖知は…どうするんだ…?」
「帰りませんッ……でも…帰らないって言っても…聞いてくれなくて…そしたら……つい……」
口論になった話をすると笠松先輩は黙って聞いていてアメリカに帰る話が出ると拳を強く握りしめて私がどうしたいのか聞いてくれた。
帰りたくないと答えても父は納得してくれなかった。それどころか会話はますます温度感が高くなっていったことを笠松先輩に伝える。
ーー回想シーンーー
「ッ…お前はッ…何もわかっていない!俺が…聖知を守るから…一緒に来るんだ。」
「嫌ッ!…私の話も聞かないでッ…勝手に決めないでッ…!」
「ッ…今まで…何も話してこなかったのはお前だろッ…!いい加減、聞き分けろッ…!」
ーー回想シーン終了ーー
「…悪い…悪く言いたくはねえが……ずいぶん…勝手な言いようだな……当事者でもない俺でも…聖知が…その状況下で話すことなんてできるとは思わねえよ……」
「……正直…ショックでした……。そのあと…飛び出して…戻るように言われても私が拒否したら引っ叩かれて……帰ってきた感じです…」
笠松先輩は話終わるとため息をついて…私の手を優しく握ってくれた。
真剣な表情で心配してくれる様子にすごく嬉しくなりショックだった気持ちが少しでも晴れやかになる感じがする。
「そうか……で……瑛一さんには…無事着いたとか連絡したのか…?」
「してません…」
「急に飛び出したら…誰だって心配するだろ……親なら…なおさらだ…無事に帰った連絡はしねえと心配するぞ……」
「………わかりました……」
笠松先輩は私が父に連絡していないことに諭すように連絡するよう促される。私はスマホの電源を入れメッセージに「着いた」だけ返信して再び電源を切る。