第33章 娘と父親
ーー瑛一視点ーー
……俺は………最低だ……
言葉だけじゃなく……初めて…
娘に手を上げてしまった……
確実に嫌われた……
せっかく…やっと…自分の気持ちを話してくれた娘に対して……
「ッ…今まで…何も話してこなかったのはお前だろッ…!」
今でも…傷ついて泣きそうになっている聖知の顔が脳裏に焼き付いている。
しかも……
俺は…自分の掌をじっと見つめて叩いてしまったことを後悔した。
あの後、もちろん追いかけたが聖知が一言メッセージが入った。
「電車で帰る」と……俺はその返信に対して…
「わかった。マンションに無事着いたら連絡しろ。」と返信した。
今は何をやっても聞いてもらえそうにねえ……
俺は、自分の泊まっているホテルのバーへと入り強い酒を頼んだ。
何回も酒を注文しては頭にあるのは「後悔」の2文字しか浮かんでこねえ…
俺は…スマホを出して澄香に連絡した。
「よう……朝っぱらから悪いな……。良いニュースと悪いニュースどっちが聞きたい……」
「瑛一さん……酔ってるの…?」
「酔ってねえよ……澄香……俺は…どうしたらいい……」
「何かあったの…?」
俺は電話越しに聖知に酷いことを言ってしまったことだけでなく手を上げてしまったことを話した。
もちろん、聖知が初めて自分の気持ちを話してくれたこと、今好きな男がいて付き合っていること、アメリカに行くことを全力で拒絶されたことも全て話した。