第33章 娘と父親
「絶対に嫌ッ…!…私は…笠松先輩の側に居たい…」
「…別れろと言っただろ……聖知…今自分がどれだけ危険な事してんのかわかってんのか…ババアにバレたらすぐアメリカに連れ戻されるぞ……」
「…ッ……好きな人と付き合ったらいけないの……?
私はもう…逃げるんじゃなくて……向き合いたいのッ……ここまで変わることができたのはッ…」
「ッ…お前はッ…何もわかっていない!
ババアに話なんか通じない……
俺が…聖知を守るから…一緒に来るんだ。」
「嫌ッ…私の話も聞かないでッ…勝手に決めないでッ…!」
前なら逃げる選択肢を選んでいたかもしれない…
でも…笠松先輩から自分の問題から目を逸らさずに…
向き合う大切さを教えてもらった…
私は…もう逃げたくない……
私は話を遮られてつい感情的に話してしまうとお父さんの一言に息が詰まった。
「ッ…今まで…何も話してこなかったのはお前だろッ…!いい加減、聞き分けろッ…!」
「ッ……!」
「Σッ……ちッ…違うッ……今のはッ…」
「ッ……そうだね……なら……ほっといてよ……」
ズキッと心が痛み目に涙を浮かべて顔を俯かせると、お父さんは我にかえって弁明する声が聞こえても咄嗟に出た言葉に本心がわかってしまい顔をそらすと席を立ちラウンジを出てホテルを出て行った。