第33章 娘と父親
「………言ってる意味がわかってんのか…聖知…」
「……わかってるよ…」
「…ッ………いつから……付き合ってるんだ……」
「高校入ってから…だから…一ヵ月くらいかな…」
「…そうか……なら……まだ間に合うな…」
お父さんは、笠松先輩と付き合っている事を話すと「やっぱりか…」とため息をついて急に険しい表情を浮かべてゆっくりと淡々と話を進めた。
「今すぐ……別れるんだ。」
「…え……?」
「今なら……まだ間に合う……別れろ。」
「な…なんで……私は…別れたくない…」
「聖知…お前はまだ子供だ。気持ちだけでは何も変えられない。それに…俺は…他に…お前に言いたいことがある。」
「………何……?」
いきなり別れろと言われて思考が停止して驚いた。
お父さんに付き合ってる事を話していきなり別れろと言われると思わず首を横に振る。
「……俺と…アメリカに帰るんだ…。」
「……い……や……」
「…勘違いするな……お前をあの屋敷に戻すつもりはない。俺と一緒に来るんだ。2度と如月家には近づけさせない。もう、嫌なことなんかしなくていいし…自分のやりたい事をやればいい…」
「…嫌ッ…行かないッ…」
「ッ…聖知ッ…!」
いきなりアメリカに一緒に帰ると言われても頭が真っ白になる。
ついていけば確かに逃げる事はできる。
でも、それより私は笠松先輩と離れたくなかった。