第33章 娘と父親
「……聖知……美味いか?」
「……何回も…同じ事…聞かないでよ…」
「いや…あまりにも美味そうに食うから…ついな。」
洋食屋さんでオムライスを頼み食べ出すと一口食べる毎に「美味いか?」と聞かれてその度に手が止まる。不服そうに言うと、お父さんもオムライスを食べながら楽しそうに笑っている。
オムライスを食べ終わると、店を出て車をお父さんの泊まっているホテルまで車をつけるとホテルのラウンジに併設されているカフェへと入る。
「ここなら時間気にせず話せるだろ。」
コーヒーを頼むと、会員制のラウンジであまり人はいなく営業時間を見ると24時間OPENされてるカフェだった。
「まず…聖知、俺が聞きたいのは2つある。1つは、聖知がなんで海常に入ったのか…知りたい。2つは、主将の笠松とはどういう関係性なんだ…あいつは…俺の話を…聖知から聞いたと言っていた。どういうことだ…」
「……海常に入ったのは…尊敬する先輩……笠松先輩がいたから…海常に入ったの。笠松先輩の率いる海常バスケ部の姿勢とかキャプテンシーに惹かれて一緒にバスケしたいって思って……」
「……なるほどな…ということは前から知り合ってたのか?」
「電車で…痴漢から…助けてもらって…知り合ったの…」
「……は…?…痴漢…?……どこのどいつだ……それは……」
「……さあ…知らない人…警察には届けたから…大丈夫だよ。」
お父さんは指を2本立てると海常に入った理由と笠松先輩どの関係性に気づいているようだった。海常に入った理由を伝えると、目を伏せて真剣な表情で聞いて痴漢の話をすると、信じられないような目で眉間に皺を寄せてピキピキマークが出るくらい怒っている。
警察に届けたと言うと安堵したようにため息をついてコーヒーを飲んでいた。
「……そうか…なら……単刀直入に聞く。
聖知……主将の笠松とは………なんだ……その……
……あれだ……」
単刀直入に聞くと言われてからかなり間がありずっと待っているとお父さんが頭を抱えている様子にゆっくりと伝えた。
「笠松先輩とは、付き合ってるよ。」