第33章 娘と父親
「よっ……久しぶりだな…聖知。」
「………お父さん……久しぶり…」
「……とりあえず乗れ……腹空いてるだろ?」
「………」
マンションへ帰るとすでに外で自分の父が待っていてサングラスを外すと近づいてきてぎこちなく挨拶を交わす。
3年ぶりに何を話していいかわからなくて視線を逸らすと車に乗るよう促されて助手席に乗り込む。
「聖知…ッ……何が食べたい…?」
「……じゃあ……そこのカフェで…」
「カフェでいいのか…?」
「……お父さん……何か私に聞きたいことがあるんでしょ?なら…話しやすい方がいいと思って…」
「……そんな身構えるなよ…じゃあ…飯の前に話…するか……」
車を少し走らせてお互い沈黙の中、何が食べたいか聞かれすぐ近くにあるカフェを指差す。何かを話したいのを我慢しているように見えて改めて聞くと苦笑いして父はカフェじゃなくてどこかの駐車場に車を停める。
「聖知……まずな……」
「………何…?」
「…3年見ない間に…綺麗になったな。おかげで学校で見た時はびっくりした。……一人暮らしは楽しいか?」
「………うん…楽しいよ。」
「ッ……!」
車が止まると何の話か分からず緊張していると優しい表情の父に頭を優しく撫でられる。
一人暮らしをしたことで再び外に自由に出れるようになったこと、友達、仲間ができたこと、笠松先輩に出会えたことなどたくさんの思い出ができてゆっくり頷いて小さく笑むとすごく信じられないものでも見るかのように驚いた表情をされた。