第32章 再会
「……そうですか…」
笠松先輩から一部始終、体育館で起こったことを聞いた。まさか、自分の父親が、海常のOBだとは思わず驚いた。
最後に言葉を交わしたのは3年前で、何の話をするのだろうと思いながら考えていると笠松先輩が優しく頭に手を置いた。
「俺も…一緒に聞いていいか…?」
「…いえ…私自身も話すのは3年ぶりなので……まだ…笠松先輩の話とかもしてませんし…1人で話聞きます。また、どうなったか言いますね…」
「……そうか…じゃあ…さっき…実はな…」
一緒に話を聞くと言ってくれた笠松先輩に本当に力になろうとしてくれるだけですごく嬉しくなりそれだけで心強くなる。
自分自身も父親が今どのような事を考えているか分からず1人で聞きますと言うと笠松先輩は軽く笑むと言いにくそうに体育館で自分の父親から言われた話を聞いた。
「わ…私から…聞いたって言ったんですか…?……な…なんか言ってました…?」
「その前に聖知が来て話できずに終わった。」
「そ…そうですか……あの……
……笠松先輩のこと…話してもいいですか…?」
「あぁ…別に隠すことじゃねえし…だから俺も隠さずに正直に話した。ただ…少し緊張はするけどな…」
笠松先輩も勘がいいと思っていたけど、仕草でそこまで読み取るなんて自分の父親も勘がいいと改めて思った。
私は父親のことは誰にも話したことがない。
面識のある涼太以外は知ってるのは笠松先輩だけ。
中学入学までしか私のことを知らない父親は不審に思っただろう。どっちみち…遅かれ早かれ笠松先輩と付き合っていることはバレる気がする…笠松先輩におそろおそる話していいか聞くと嫌な顔ひとつせず了承してくれた。
まぁ……緊張するよね……付き合っている相手の父親だし…
話はそこで終えて、今日はなるべく早く帰るためにマネージャー業務を終えて監督も「今日は少しでも早く帰って話してやってくれ」と気を遣われて早めに帰らせてくれた。
私は監督にお礼を言い、早々にマンションに向かって帰っていった。