第32章 再会
ーー海常高校 体育館付近ーー
「……あれ……あれって…森山先輩と涼太…?」
部室近くまで来ると森山先輩と涼太2人だけが何故か外周を走っているのを見て、なんで2人だけ…と思い首を傾げるもパーカーを着て髪をポニテールにくくり体育館へ向かう。
ーー瑛一視点ーー海常高校 体育館ーー
聖知が来る数分前……
「……まったく……で……さっきの話だが…なんで俺を知っていた…?」
「……聞いてて…知っていたからです。」
「…?…あぁ……武内先輩からあらかじめ聞いてたってことか?…それなら…」
「いえ…聖知から聞いて知ってました。」
「……は…?…今…なんて言ッ…」
「遅くなりまし………えッ……」
俺は聖知からの冷たい返信に正直俺に会いたくないんじゃないかと思いため息をついてスマホを直すと目の前にいる主将に話を聞いた。
先輩から聞いたのか…と納得しようとした時、主将の口から聖知の名前が出て驚く。
おい…待て……
聖知から…聞いた……だと……
俺が詳しく聞く前に体育館の扉が開く音がして聞き覚えのある声がするとずっと会いたかった娘が目の前に現れ…言葉さえ出てこなかった。
前にあったのは…3年前……
あの時は…幼さが残っていたが…3年の間にすごく大人っぽくなっていた…
当時高校生だった澄香と似ていて俺と同じ瞳の青瞳がびっくりしたように俺を見ていて他に目が入らなかった。
「……な…なんで……」
「ッ……。」
先に娘の聖知の方が反応してこっちに近づいてくると久しぶりに見る大人っぽくなった娘に不覚にも言葉が出ず咳払いをする。
「…ッ…聖知……後で…マンションに行く…じゃあな…」
「…え…ちょ……」
俺は深呼吸をしてここでゆっくり話せる自信がなく用件だけ伝えると去り際に頭を軽く撫でて監督である武内先輩に挨拶をして海常高校を後にした。
ーー瑛一視点終了ーー