第32章 再会
「なあ…黄瀬…なんか…瑛一さんって誰かに似てねえか…?」
「あ…俺も…同じ事考えたことあるっす……」
「なんだよッ…その視線は…何か言いてえ事でもあんのかッ…」
2人の視線が俺に集まりイラつくように見ると2人合わせて「「似てる」」とハモりながら言うと「外周50周!」と怒鳴りつけて体育館から追い出した。
「よう、主将…熱血漢タイプか…?ていうか……なんか…やっぱ俺の若い頃にそっくりだな…」
「……瑛一さんも主将をしてたんですか…」
「あぁ…今の監督の武内先輩が当時OBとして体育館に何回も練習に付き合ってくれてな…おかげで当時インターハイで優勝することもできた。主将、お前も頑張れよ。」
「……はい。」
「ところで…一つ聞いていいか…。」
「主将なら知ってるよな…OBの事…武内先輩が俺を紹介する時いつも大抵驚かれるんだがこの部員メンバーの中で俺に驚かなかったのが2人いる。1人はあのチャラ男だ。面識があるからあいつはわかる。もう1人はお前だ。武内先輩から聞く前に俺の事知ってたんじゃねえのか…」
「それは…」
「ん…ちょい待て………はぁッああッ!?…やっと連絡して来たと思ったらなんだこの返信はッ…!」
瑛一さんが俺に近づくとインターハイの話になりボールを掴む手が強くなる。
今年はぜってえ優勝する…絶対にな……
そう思っていると、監督が自己紹介する時に本人を前にして驚かなかったことを見抜かれていた。顔は知らなかったが聖知から名前までは聞いていたさほど驚かなかったことを言われ正直に話そうと思った時瑛一さんのスマホが鳴りスマホを見て怒鳴りつけていた。
ーー笠松視点終了ーー
ーー海常高校 廊下ーー
「あ…返信忘れてた……」
講義が終わり体育館へ向かう途中スマホを見ると送ってないことに気づいて簡単な文で一言「今日忙しいから無理」とだけ送信してスマホを閉じて体育館へ向かった。