第31章 お泊まり※
ーー笠松視点ーー
聖知の話を聞いて、驚愕した。
ドラマか何かの話のように感じて信じられない気持ちだったが…何より…
聖知がなぜあまり頼らないのか。
限界がきてもなぜ我慢するのか。
よくわかった……ずっと1人で戦ってきたからだ。
誰にも頼らず我慢して耐えて乗り越えてきたのがわかった……
「………つらかったよな……俺には…想像も…できねえが……正直驚いた………今はつらくねえのか…?」
聞きながら思った……簡単に割り切れる話なんかじゃねえって…話を聞くと、聖知が今一人暮らしをしているのは条件付きという話を聞いて、今も昔も変わってないことがわかった…
ずっと心は…自由になってねえ…まだ囚われた状態だって……
「聖知…つらい気持ちは俺は…すごくわかる…だがな……厳しいこと言うが…今のままじゃ何も変わんねえぞ。」
俺はなるべく負担をかけないように、しかし今の現実と向き合って欲しくて言葉を続けた。
「家にいるのが嫌で1人で暮らしても…心の内は離れられてないんじゃないか……話なんて通用する相手じゃないって言うのも痛いほどわかる……でもな…嫌な事は嫌って言え…自分を偽ってまで自分の人生を犠牲にする事ねえだろ。」
「……ッ…できる事なら…そうしたいですッ…でもッ…」
今までの話から、簡単なことじゃないって言うのが痛いほどわかる。
1人で戦う必要なんかねぇ……
2人でなら乗り越えられるだろ…何より…日本に留学と聞いて…俺は…アメリカに帰ってほしくない…
「1人でやれなんて言ってねえだろ……俺が力になる……俺が支える…いつも言ってんだろ…もう1人で戦うな……俺も一緒に聖知と戦う……俺はもう離す気なんかねえからな…」
そう言うと聖知は今まで気持ちを抑えていたのが溢れ出すように泣き出した。言葉から1人で泣かずに耐えてきたのがよくわかる。
俺は泣いている聖知を優しく頭を撫でて泣き止むまで抱きしめた。
ーー笠松視点終了ーー