第30章 アメリカーー過去編ーー
「澄香……もうこの屋敷にいる時はあのババアと喧嘩するのはやめよう…ずっとここに来てから聖知のことで喧嘩してばかりだ……子供ながらに負担かけてしまってるんじゃないか……」
「そうね……わかったわ……何もしてあげられないなんて……親として…不甲斐ないけど……今日の聖知を見たら……もう……」
この屋敷に来てから聖知のことで毎晩のように歪み合い祖母と喧嘩していた。ずっとストレスをかけていたのかと思うと何が良くて何が聖知のためになるのかわからないまま2人は聖知の看病を続けた。
その日を境に両親は私のことで喧嘩する事がなくなり、私自身も従っていれば怒られることもない、両親はほとんど家にいなくても1人でいることに何も次第に感じなくなっていった。
変わったことと言えば笑わなくなった事。
そんな生活が私が小6になるまで続いた時にある転機が訪れた。
父がアメリカから移住することになり、私も一緒に連れて行きたいと話をしてくれた。
「聖知…お前は…ずっと我慢してるんだろ……ここから離れたら自由になる…もう自分を犠牲にしなくていいから…ここを出たいと言ってくれ。」
「………私は……日本に…帰りたい……」
「ッ……!」
なぜ日本に帰りたいと言ったのかわからない…
1番幸せだった頃に戻りたかったのだろうか……
「おや…日本ですか……日本でしたら…如月家の屋敷があるので…「留学」という名目でしたら可能なのでは…?」
「………うるせえ…」
「なんなら…私から紅羽様に聞いてみてもいいですよ?」
「お前はババア側なんだろ…どういうつもりだ……」
「……さあ…」
その後、桐生から聖知の留学話を聞きそろそろ留学させても良いという話に条件付きで落ち着いた。
これまでの教育は桐生が行うこと、如月家の屋敷に住むことが条件。
その条件を聖知が飲み込んだため瑛一は聖知を連れていく事ができず娘の意思を尊重して日本に留学することを了承した。
ーー回想編終了ーー