第30章 アメリカーー過去編ーー
「そのババアはおやめなさい。聖知に悪影響だから。」
「おい…どうせ何かしたんだろッ…」
「してないわよ、ならそれも聞いてみたらいいじゃない。」
「ッ……聖知…このババアに何かされたのか…」
「………」
「ッ………」
聖知の様子は明らかにおかしいのに聖知に何を聞いても首を横に振り言葉が出てこなかった。
「もういいかしら……予定が詰まっているのよ…」
「…………聖知をここに置くのに条件がある……今日からここに住まわせてもらう…聖知のために1人にしないためだ…」
「どうぞ…ご自由に……」
「お母さん…私…如月家として跡継ぎとして働きます…関係者なら…聖知のそばにいてもいいのよね……」
「そう…自覚を持ってくれて嬉しいわ……お好きにしなさい…時間だから失礼するわ…」
澄香と瑛一は祖母が聖知に何かをしたと思い込み、聖知をこの屋敷から出すことができないのなら自分たちが守らなければいけないと思い自分たちもこの屋敷に留まることを提案すると紅羽からすんなり了承を受ける。
紅羽は聖知の手を引き応接室から出ていき、いつものようにスケジュール通り聖知の教育のため別室に連れて行った。
ーーその日の夜ーー
「お嬢様…今日はご立派でしたよ…」
「…………」
本当は…帰りたいって言いたかった…
こんなとこより…前の方が楽しかった…
でも言ったら……お父さんがNBAとして活躍しているのを全て壊すと脅された……お母さんも2度と会えないようにすると言われて本当の事なんか言えなかった…
私さえ…我慢すれば…誰も傷つかない……
それに…お母さんもお父さんもここに住むって……
その日のスケジュールが終わると聖知はベッドに項垂れて執事の話なんて耳に入っていなかった。長い間外に出ていなくて窓から見る外の景色が別世界に感じる。